駒沢大学GMS卒 Iさん

参加期間
2026年5〜6月
なぜ数ある企業の中から、弊社のインターンを選びましたか?
都市での暮らししか経験したことがなかったので、自然豊かな山村地域での暮らしを肌で感じて、自分のなかの当たり前を壊したいという願望がありました。そんななかたまたまインスタで出てきたのがこの弥栄町でのインターンの求人で、見ていくうちに有機農業を体験できることや、季節によって異なる事業所で働くことができるマルチファーマーという制度があることに惹かれていき、弥栄町に行ってみたい!と思うようになりました。ただいきなり移住するような勇気はなかったので、弥栄町複業協同組合の事務局に相談をしたところ「2ヶ月のインターンをやってみて、それから判断していただけたら」と言っていただき、それならとりあえず行ってみよう、と思い応募することを決めました。
時間を忘れて没頭したワークや役割は何ですか?
ビニールハウスの畑で、収穫後に行われる掃除の作業にとても没頭できました。雑草や残った野菜を刈り取ったり石を拾ったりするのですが、気がつくと2時間経っていたこともあり、自分でも驚きました。一見すると単純な作業ですが、土や草の香りに包まれながら、地面に座り込んで手を動かし続ける時間はとても心地よく感じました。鎌で草を刈り取り、石を拾い、ガラ箱に入れる。その繰り返しの中で自然と目の前の作業に集中し、余計なことを考えずにいられました。普段は考えすぎてしまうことも多いのですが、五感に集中しながら身体を動かしている最中は無心になることができました。

良い意味で、想像と違った部分はありましたか?
1番は暮らしやすさです。弥栄町に来る前は「暮らしやすさ=利便性」だと思い込んでいました。駅が近いか、飲食店やスーパーがあるか、が暮らしやすさに直結すると。地元は神奈川の市街地なので、「コンビニがない」「信号機がない」「スーパーが1軒だけ」という話を聞いたときは、正直生活のイメージが全くつきませんでした。しかし実際に来てみると、思っていた以上に不便を感じることはなく、むしろ暮らしやすいと感じる場面が多くありました。食事は基本的に自炊で済みますし、体験先の農家さんからいただいた野菜や味噌、ご近所さんからのお裾分けや採ってきた山菜など、新鮮な食材で作る料理は格別で、コンビニに行きたいと思うこともほとんどありませんでした。
また人や車が少なく、時間や空間にもゆとりがありのんびりと過ごせます。渋滞なんて無縁ですし、散歩中に聞こえてくるのは虫や蛙の鳴き声か鳥のさえずりくらいの静かな場所です。そしてどこに行っても緑に囲まれていて、町のどこにいても気持ちよく呼吸をすることができる。そんな生活が新鮮で快適でした。利便性とは別のところにも、暮らしやすさや豊かさの軸がある。そのことを知れたのは大きな発見でしたし、想像とのギャップが大きかったです。
また、行く前はマルチファーマーに惹かれつつも「働く場所がコロコロ変わってしまうと、何も身につかないのではないか」という不安がありました。が、実際に働いたおかげでマルチファーマー的な働き方の利点を感じることができました。小松ファームとやさか共同農場という2つのハウス農家さんで勤務させていただいたのですが、「ここは違うやり方なのか」「ここは共通なんだな」というふうに2つの農家さんを比較しながら働くことができ、異なる視点から「ハウス農家」という仕事を学ぶことができました。そういう意味で、異なる視点から「有機農業」という産業全体を学ぶことができるマルチファーマーは魅力的な制度だと思いました。

インターン中、ハッとした言葉はありますか?
やさか共同農場の竹岡さんにハウスで育てているぶどうの木を紹介してもらったとき、「苗木を植えてから実がなって収穫できるまで3年かかる」という話を聞き、驚いたのを覚えています。
純粋に「そんなに時間がかかるんだ」という驚きもありましたし、それより印象的だったのは竹岡さんが「3年」という年月を何でもないことのように話していたことです。自分との時間感覚の違いにハッとしました。僕は普段目の前の結果や変化に一喜一憂したり、短期的な目線で物事を考えてしまうことが少なくありません。しかし自然を相手にする農業では、すぐに結果が出なくても時間をかけて育てていくことが当たり前です。竹岡さんのどっしりとした姿勢や発言から、長い時間軸で物事と向き合うことの大切さや、自然を相手にする農業という仕事の魅力を感じました。
また、奥島根弥栄の田中さんから事業内容について説明を受けていた際の「目的は弥栄の土地や農地を守ることで、有機農業はあくまでその手段」という言葉も印象に残っています。僕はそれまで、有機農業そのものが目的でありゴールなのだと思っていました。しかし実際には、有機農業を核としながらも、その先にある地域や農地の未来を見据えて取り組みが行われていることを知りました。
「有機農業をすること」ではなく、「地域を守り次の世代につなぐこと」が目的であり、そのための方法として有機農業がある。この考え方に触れ、目の前の活動を大切にしながらも、その先にある目的や未来を見失わない姿勢にハッとしました。

このインターンの魅力はなんですか?
同じ立場の仲間がいることです。僕が来たときはインターン生が僕含めて4人、マルチファーマーが3人いました。みんな1人で弥栄町に飛び込んできているので、同じ目線で意見を交わしたり気づきや悩みを共有でき、ありがたい存在でした。みんなで話している時間はとても楽しかったです。またそれぞれ勤務する事業所はバラバラなので、それぞれの事業所についての情報も交換することができました。
また、仕事以外での交流が多いこともこのインターンの特徴だと思います。弥栄町複業協同組合の方々や就業先の事業所の方々、インターン生やマルチファーマーの仲間、地域の方々などと、ご飯会や飲み会、イベントを通して関わる機会がたくさんありました。
都会では仕事とプライベートに明確な線が引かれていることが多いですが、弥栄町のような地域ではその境界が比較的ゆるやかです。こうした距離感の近さをどう感じるかは人それぞれだと思います。ただ、もしそうした付き合いに不安を感じる方がいたら、「今の自分がどう感じるか」だけでなく、「弥栄での暮らしを経験した自分ならどう感じるか」という視点から、自分自身の変化も込みで考えてみてほしいと思います。僕自身、もともとは仕事以外での付き合いをどちらかといえば避けるタイプでしたが、実際に来てみるとそうした時間をとても楽しめている自分がいて、嬉しい発見の一つでした。

どんな人に、このインターンをおすすめしたいですか?
マルチファーマーに少しでも興味がある方にはぜひおすすめしたいです。また「マルチファーマーをやってみたいけどいきなり移住は…」という方は絶対に行った方がいいと思います。
複数の事業所を渡り歩くという特殊な働き方といい、弥栄という町での暮らしといい、イメージしにくい部分が多いかと思います。僕自身もさきほど書いたようにいきなり移住する勇気がなかったのでインターンを選んだのですが、2ヶ月を終えてみて弥栄町で働きたい!という気持ちが強まり、現在は前向きに準備を進めているところです。
個人的に2ヶ月という期間がちょうど良かったと思います。長すぎず短すぎずで、仕事と町の雰囲気がなんとなく掴めました。もちろん「理解できた」なんて口が裂けても言えませんが、この働き方や町が自分にマッチしていそうか、という判断はできるくらいの期間だと思うので、迷われている方はぜひ行って肌で感じてみてほしいです!
